もとのSKY配列というのは白鳥嘉勇、小橋史彦両氏によって考案されたもので, 以下のような形をしている.
論文中[1]で基本配列として提示された形
, W R M H | UU AI OU 。 EI
N T S K Y | U A O I E
P D Z G B | UN AN ON IN EN
木村泉氏の著書[2]で紹介された形
1 2 3 4 5 | 6 7 8 9 0 - X V
, W R M H | UU AI OU . EI F {
N T S K Y | U A O I E ー }
P D Z G B | UN AN ON IN EN ・
この配列の特徴としては省打鍵キーを搭載した左右2打鍵系配列であるということ以外に, 以下があげられる.
上の特徴からは人差し指を横に動かす位置(t,y,g,h,b,n)の使用頻度を下げようという意図を感じる. ただ実際には,単に人差し指に使用頻度が集中することを嫌っただけである. (元論文におけるSKY配列の設計指針はこちら)
以上のように,SKYは覚えやすいような体裁を整えつつ,打鍵時の効率にも配慮している. 普通こういうことをすると,どっちつかずにななりがちであるが, 両方の要素が高次にまとまっているところにSKYのセンスのよさを感じる.
ただ,現状の日本語の入力環境で日本語を入力するということを考えると, 基本配列のみでは長音を入力することも,「ファックス」や「ヴァルキリー」などを 入力することも不可能であり,未完成であるといえる.また,木村泉氏の著書[2]で紹介されている拡張は そのことに配慮されている. ただ,この拡張がどのような経緯で誰によって行われたのかわからないが, 基本部分の練られ方と比較すると美しくなくやる気を感じられない.
また,左人差し指担当の子音の拗音を入力するときに人差し指でもう一度「Y」を 入力しなければいけないのはあまり美しくない.
その結果として,基本部分の美しさに魅せられた人々によって SKYを独自に拡張する案が多数成立することになる.
SKYを拡張する提案はいくつかなされている.(木村版SKY,SKY!,SKY+,SKY++など) そのすべてに共通することは打てない文字列をなくすために何らかの形でF,V,X,「ん」,「っ」を割り当てることである. また,いくつかの拡張ではそのままでは打ちにくくなる拗音や促音を打ちやすくするような 拡張がなされている.
SKYではキーボードのメインの位置(3段10列の領域)はすでにすべて定義済みなので, 新たにキーを足すためには何らかのシフト動作を加えるか,メインの領域の外部にキーを配置するしかない.
以下に現在Web上や書籍から配列が明白ないくつかのSKY拡張配列を記す.
木村泉氏の著書「ワープロ徹底操縦法」[2]において私家版SKY配列として提案されている配列.
1 2 3 4 5 | 6 7 8 9 0 - ファ ヴァ
, ワ ラ マ ハ | うう あい おう . えい - 「
ナ タ サ カ ヤ | う あ お い え っ BS
パ ダ ザ ガ バ | うん あん おん いん えん ・
ただし,"」"は"「"のシフト側
この配列の特徴は,促音を打つときに子音を連打せずに「え」の横という メインの範囲以外では最も打ちやすい場所に「っ」を配置してそれを使うようにしていることである.
確かに,子音連打ははっきり遅いのでそういう改良の方法はありかもしれない.
F,Vは依然として端のほうに追いやられているが,シフトをしないことを前提にするとこの位置しか空いていないので仕方がない. 一応文中でもどこか打ちやすい場所(かつ意味的な関連が取れる場所)のシフトにしてはどうかと書かれてはいる.
ここで配布されているEggおよびCannnaでSKY配列を使うための設定ファイルで 採用されている配列.SKY+でもSKY!でもないようなので,下川版SKYとここでは呼ぶことにする.
また,ここからの配列はどういった経緯でどのような時期に考案されたかに関する情報が不足しすぎているので, 順番には特に意味はないと前置きしておく.
アンシフト時
□ □ □ □ □ | □ □ □ □ □ ー x ん
, W R M H | UU AI OU . EI ー 「
N T S K Y | U A O I E っ 」
P D Z G B | UN AN ON IN EN ・
シフト時
□ □ □ □ □ | □ □ □ □ □ □ □ □
Q □ □ □ F | uU aI oU □ eI □ 『
□ □ □ □ □ | u a o i e ん 』
Z □ □ □ V | uN aN oN iN eN □
ただし,小文字のアルファベットは最初の打鍵では小さな母音,子音に続いて打たれた場合には拗音が出力される.
また,Q,Zはそれぞれ特殊入力用のプレフィックス.詳しくは[3]を参照.
シフトを使うことによって,「-」,「ん」,「っ」,「F」,「V」が 比較的打ちやすい近い位置に移動.さらに,シフトを使うことによって, 拗音を同指打鍵なしに入力することができるようになった. シフトのコストはあるにせよ,同指打鍵よりましであることはいうまでもない.
須藤玲司氏によって拡張された配列.須藤氏によって拡張されたSKY+が さらに須藤氏によって改良されてSKY++になるという構図だが,SKY+の詳細な配列図は不明. (SKY++がある以上,歴史家以外は知る必要もないが)
もともとは須藤玲司氏の日記に配列が載っていたようであるが,須藤氏のサイト自体が消滅してしまったので, たどることはできない.現在たどれるリンクとしては2chのパソコン一般板の 「よろしければ配列について教えろ」スレの 383-384などがあげられる.
アンシフト時
, W R M H | UU AI OU . EI
N T S K Y | U A O I E ー
P D Z G B | UN AN ON IN EN
シフト時
V WW RR MM HH | YUU YAI YOU ん YEI
F TT SS KK x | YU YA YO YI YE っ
PP DD ZZ GG BB | YUN YAN YON YIN YEN
メインの領域から大きく離れた,シフトを採用した後となっては盲腸のようなキーは 削除されている.
拗音と促音をシフト1打で入力することができるので,ただでさえ高い交互打鍵率がさらに高められている. 促音を子音連打で打つことを問題視して,改善するためのアプローチとしてはシフトの負担をどう解釈するかによるが, 端のほうに促音キーを採用するよりはスマートな解決策であるように思われる.
初期に提案された配列では今とは「っ」と「ん」が反対であるが, 「ん」が出現する状況を考えると(長音の後に来ることが多い)小指連打となるQWERTYで「:」の 位置よりもQWERTYで「o」の位置のほうがよいという判断に基づいて入れ替えたらしい.
定期的に[4]のスレや[5]のスレでQ's Nicolatter用の設定ファイルが配布されているが, 大半の期間はリンク切れのため入手不可能である.配列ファイル自体の作成は容易だから問題はないのだが, 情報満載のREADMEが惜しい.承諾さえ取れれば手元にあるファイルをここにあげてもいいのだが, 本人がSKY普及用サイトを作ると該当スレ中でたびたび言っているので,それを待ったほうが懸命であろう.
なんのことはない,今自分が使っている配列のこと.
アンシフト時
, W R M H | UU AI OU 。 EI
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シフト時(アンシフト時の「S」を打鍵した直後の打鍵)
□ □ □ □ □ | YUU YAI YOU っ YEI
F V S X Y2 | YU YA YO YI YE ん
□ □ □ □ □ | YUN YAN YON YIN YEN
□は今の設定ではたまたまアンシフト時と同じ文字が入力されるが,配列としては定義しない.
一番単純にはSKY++(旧バージョン)を中指シフトで実装した配列であるといえる.
特徴としては中指シフトを使ったので,普通の意味でのシフトが苦手な人でも 使いやすい.また,シフトを使わないためある程度ローマ字カスタマイズの自由度の高いIMEであれば, ローマ字カスタマイズだけで設定可能であるというメリットもある.
また,中指シフトを採用することによって子音連打以外の同指連続打鍵を抑制している. 同指連続は促音と母音がらみ以外では出現しない.
この配列に関するより具体的なことはここから.